レジオネラ属菌についてご存知ですか?
レジオネラ属菌は、大腸菌と同じ細菌の一種です。
自然界では、水たまり、池、土ほこりの中、どこにでもいる細菌です。
増殖に適している温度は35〜40度ほどと言われているので、浴槽やプール、クーリングタワー、加湿器等でも増殖する可能性がります。
とくに、バイオフィルムの中ではレジオネラ属菌に対して通常の塩素消毒がほとんど効かないので注意が必要です。
※バイオフィルムについては、下記に記載しています
基本的には、レジオネラ属菌の増殖した水が皮膚についたり、飲み込んだりしてレジオネラ感染症にかかるのではありません。
レジオネラ属菌の増殖した水がしぶきとして、肺に吸い込みレジオネラ感染症にかかるのです。
レジオネラ感染症は大きく分けると2種類あります。
●非肺炎型 ポンティアック熱
・インフルエンザに似た症状で、比較的病状が軽く、自然治癒してしまうことから、
感染したことに気が付かない事が多いので表面化しにくい。
●肺炎型 レジオネラ肺炎
・潜伏期間2〜10日。致死率は適切な治療を行わないと半数以上の方が亡くなると言われています。(適切な治療をおこなった場合、致死率は10%以下)
レジオネラ感染症は、第四類感染症に指定されています。レジオネラ感染症と診断されると、医師は保健所へ届け出を行います。
全国のレジオネラ感染症の届け出は、2014年で1236(そのうち岡山県内の感染は31)です。
※出典 国立感染症研究所HPより
http://www0.nih.go.jp/niid/idsc/idwr/IDWR2014/idwr2014-52.pd
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レジオネラ感染症の予防には、沢山の法律、指針、条例が存在します。まずは、条件に合わせた管理が必要条件になります。
●公衆浴場法 旅館業法
●公衆浴場における衛生管理要領
●旅館業における衛生管理要領
●建築物における維持管理マニュアル
中央給湯設備の維持管理
●レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針
●レジオネラ症の知識と浴場の衛生管理
●循環浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアルについて
●社会福祉施設におけるレジオネラ症防止対策について
上記の指針等に合わせて、自主管理手引書、点検票を制作し、日常の衛生管理者に係る責任者を定める必要があります。(レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針)
管理記録、点検票は3年以上保管する事(循環浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアルについて)
上記指針に合わせて点検や作業の回数を決めることが重要ですが、それ以上に重要な事は
レジオネラ属菌を増やさない事、
レジオネラ感染症を出さない事
この2つです。
指針に合わせて点検や作業の回数を決めているだけの場合、水質検査の度にレジオネラ属菌が検出されるケースがあります。その場合は、自主管理手引書をより安全な物に変更し、レジオネラ属菌が検出されない管理を行う事が重要になります
自主管理手引書の制作も、弊社にご相談ください!
基本的な日常の管理の例です
【毎日】
・浴槽内の残留塩素濃度の測定(複数回) 0.2〜0.4mg/L 最大1.0mg/L
・薬注装置の確認 残留塩素濃度の維持
・ヘヤ―キャッチャーの清掃
【毎週】
・ろ過器の逆洗
・ろ過器・配管の消毒
・浴槽水の換水
・浴槽内の物理清掃
【年に数度】
・浴槽水の検査(2回/年 塩素消毒の場合)
・貯湯槽の清掃
・シャワーヘッドの消毒
・配管洗浄(バイオフィルム除去)
配管やろ過器の内部には、バイオフィルムと呼ばれる生物膜(ヌメリ)が形成されています。
そのヌメリの中では、塩素消毒が効きにくく、レジオネラが生息し続きます。
レジオネラ対策は、このバイオフィルムの除去が重要になります。
バイオフィルムの除去には色々な方法があります。浴槽のように物理的に洗える場所では、たわし等で洗う事でバイオフィルムを除去できます。
問題は、配管内部やろ過器です。ここのバイオフィルムをどのように除去するかが重要になります。
【配管内のバイオフィルム除去の方法】
・高濃度塩素工法
・過酸化水素工法
・過炭酸ソーダ(PC)工法
・酸素系薬剤工法
・高温水工法
弊社では、設備や施設の状況に合わせて適切な方法をご提案しています。
@浴槽の大きさ(水量)に合わせて、薬剤を投入します。
A30分以上循環させ、配管内のバイオフィルムを除去します
バイオフィルム等の有機物に反応
C循環後、すすぎ等を行います
(左)循環後すすぎの後の水
(右)過酸化水素で循環させた水